逆走!アカデミー賞

米・アカデミー賞を何処までも逆走していく、ネタバレと少しの熱さの、ゆるい映画紹介ブログです。

第90回アカデミー賞(2018)全受賞作品&ノミネート作品一覧

※ 青文字をタッチするとその映画の紹介記事に飛べます

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 ★作品賞★

【受賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

 〜以下ノミネート〜

●「君の名前で僕を呼んで」

●「ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男」

「ダンケルク」

「ゲット・アウト」

●「レディ・バード」

●「ファントム・スレッド」

●「ペンタゴン・ペーパーズ」

●「スリー・ビルボード」

★監督賞★

【受賞】ギレルモ・デルトロ

「シェイプ・オブ・ウォーター」

〜以下ノミネート〜

● クリストファー・ノーラン

「ダンケルク」

● ジョーダン・ピール

「ゲット・アウト」

● グレタ・ガーウィグ

「レディ・バード」

● ポール・トーマス・アンダーソン

「ファントム・スレッド」

★主演男優賞★ 

【受賞】ゲイリー・オールドマン

「ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男」

〜以下ノミネート〜

● ティモシー・シャラメ

「君の名前で僕を呼んで」

● ダニエル・デイ=ルイス

「ファントム・スレッド」

● ダニエル・カルーヤ

「ゲット・アウト」

● デンゼル・ワシントン

「ローマンという名の男  信念の行方」

★主演女優賞★

【受賞】フランシス・マクドーマンド

「スリー・ビルボード」

〜以下ノミネート〜

● サリー・ホーキンス

「シェイプ・オブ・ウォーター」

● マーゴット・ロビー

「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

● シアーシャ・ローナン

「レディ・バード」

● メリル・ストリープ

「ペンタゴン・ペーパーズ  最高機密文書」

★助演男優賞★

【受賞】サム・ロックウェル

「スリー・ビルボード」

〜〜以下ノミネート〜〜

● ウィレム・デフォー

「フロリダ・プロジェクト  真夏の魔法」

● ウッディ・ハレルソン

「スリー・ビルボード」

● リチャード・ジェンキンス

「シェイプ・オブ・ウォーター」

● クリストファー・プラマー

「ゲティ家の身代金」

★助演女優賞★

【受賞】アリソン・ジャネイ

「アイ,トーニャ  史上最大のスキャンダル」

〜以下ノミネート〜

● メアリー・J・ブライジ

「マッドバウンド  哀しき友情」

● レスリー・マンビル

「ファントム・スレッド」

● ローリー・メトカーフ

「レディ・バード」

● オクタビア・スペンサー

「シェイプ・オブ・ウォーター」

★脚本賞★

【受賞】「ゲット・アウト」

ジョーダン・ピール

〜以下ノミネート〜

●「ビッグ・シック  ぼくたちの大いなる目ざめ」

エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ

●「レディ・バード」

グレタ・ガーウィグ

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

ギレルモ・デル・トロ、バネッサ・テイラー

●「スリー・ビルボード」

マーティン・マクドナー

★脚色賞★

【受賞】「君の名前で僕を呼んで」

ジェームズ・アイボリー

〜以下ノミネート〜

●「The Disaster Artist(原題)」

スコット・ノイスター、マイケル・H・ウェバー

●「LOGAN ローガン」

ジェームズ・マンゴールド、スコット・フランク、マイケル・グリーン

●「モリーズ・ゲーム」

アーロン・ソーキン

●「マッドバウンド 哀しき友情」

バージル・ウィリアムズ、ディー・リース

★撮影賞★

【受賞】「ブレード・ランナー2049」

ロジャー・ディーキンス

〜以下ノミネート〜

●「ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男」

ブリュノ・デルポネル

「ダンケルク」

ホイテ・バン・ホイテマ

●「マッドバウンド  哀しき友情」

レイチェル・モリソン

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

ダン・ローストセン

★編集賞★

【受賞】「ダンケルク」

〜以下ノミネート〜

●「ベイビー・ドライバー」

●「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

●「スリー・ビルボード」

★美術賞★

【受賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

〜以下ノミネート〜

●「美女と野獣」

●「ブレード・ランナー2049」

●「ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男」

「ダンケルク」

★衣装デザイン賞★

【受賞】「ファントム・スレッド」

マーク・ブリッジス

〜以下ノミネート〜

●「美女と野獣」

ジャクリーン・デュラン

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

ルイス・セケイラ

●「ヴィクトリア女王  最後の秘密」

コンソラータ・ボイル

★メイキャップ&ヘアデザイン賞★

【受賞】「ウィンストン・チャーチル  ヒトラーから世界を救った男」

〜以下ノミネート〜

●「ヴィクトリア女王  最後の秘密」

●「ワンダー  君は太陽」

★視覚効果賞★

【受賞】「ブレード・ランナー2049」

〜以下ノミネート〜

●「スター・ウォーズ  最後のジェダイ」

●「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー   リミックス」

●「猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)」

●「キングコング  髑髏島の巨神」

★録音賞★

【受賞】「ダンケルク」

〜以下ノミネート〜

●「ベイビー・ドライバー」

●「ブレード・ランナー2049」

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

●「スター・ウォーズ  最後のジェダイ」

★音響編集賞★

【受賞】「ダンケルク」

〜以下ノミネート〜

●「ベイビー・ドライバー」

●「ブレード・ランナー2049」

●「シェイプ・オブ・ウォーター」

●「スター・ウォーズ  最後のジェダイ」

★作曲賞★

【受賞】「シェイプ・オブ・ウォーター」

アレクサンドル・デスプラ

〜以下ノミネート〜

「ダンケルク」

ハンス・ジマー

●「ファントム・スレッド」

ジョニー・グリーンウッド

●「スター・ウォーズ  最後のジェダイ」

ジョン・ウィリアムズ

●「スリー・ビルボード」

カーター・パーウェル

★主題歌賞★

【受賞】“リメンバー・ミー(Remember Me)”

「リメンバー・ミー」

〜以下ノミネート〜

● “Mystery of Love”

「君の名前で僕を呼んで」

● “Mighty River”

「マッドバウンド  哀しき友情」

● “Stand Up for Something”

「マーシャル   法廷を変えた男」

● “This Is Me”

「グレイテスト・ショーマン」 

★長編アニメーション映画賞★

【受賞】「リメンバー・ミー」

〜以下ノミネート〜

●「ボス・ベイビー」

●「生きのびるために」

●「フェルディナンド」

●「ゴッホ  最後の手紙」

★外国語映画賞★

【受賞】「ナチュラルウーマン」(チリ)

〜以下ノミネート〜

●「判決、ふたつの希望」

(レバノン)

●「ラブレス」

(ロシア)

●「心と体と」

(ハンガリー)

●「ザ・スクエア  思いやりの聖域」

(スウェーデン)

★長編ドキュメンタリー映画賞★

【受賞】「イカロス」

〜以下ノミネート〜

●「Abacus: Small Enough to Jail(原題)」

●「顔たち、ところどころ」

●「アレッポ  最後の男たち」

●「ストロング・アイランド」

★短編映画賞★

【受賞】「サイレント・チャイルド」

〜以下ノミネート〜

●「Dekalb Elementary(原題)」

●「The Eleven O'Clock(原題)」

●「My Nephew Emmett(原題)」

●「Watu Wote: All of us(原題)」

★短編ドキュメンタリー映画賞★

【受賞】「Heaven Is a Traffic Jam on the 405(原題)」

〜以下ノミネート〜

●「Edith+Eddie(原題)」

●「ヘロイン×ヒロイン」

●「Knife skills(原題)」

●「Traffic Stop(原題)」

★短編アニメーション映画賞★

【受賞】「親愛なるバスケットボール」

〜以下ノミネート〜

●「ガーデンパーティー(原題:Garden Party)」

●「LOU」

●「ネガティブ・スペース」

●「へそまがり昔ばなし(原題:Revolting Rhymes)」

 

 

 

 

〜以上24部門

 

 

トピック

 

2018年3月4日(現地時間)にカリフォルニア州ハリウッドのドルビー・シアターで開催され、司会は前回に引き続きコメディアンのジミー・キンメルが務めた。

一体どの作品がアカデミー賞の数ある部門の最重要部門である【作品賞】を獲るのかというメディアや評論家のアカデミー賞予想では『スリー・ビルボード』が本命と言われていたが対抗馬であるギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』が作品賞を受賞した。

ファンタジーやクリーチャー(怪獣)やホラー作品がアカデミー賞で作品賞を受賞するのは極めて稀な事で、デル・トロ監督は授賞式の1週間前にスティーヴン・スピルバーグ監督から電話で「もしも受賞したらそれはレガシー(遺産)なんだ。このフィルムメーカーの世界の一員になるんだよ。誇りに思え。」と言われたと語っている。 

 

またデル・トロ監督はスピーチの冒頭、こう語った。

「ありがとうございます。私は移民です。(アメリカに住む)多くの皆さんと同じようにね。25年間この国に暮らしてきました。私たちの業界の素晴らしいところは、国境線を消し去ってしまえるところだと思います。世界がその“線”をより深く刻むときこそ、私たちは消し続けていくべきです。ここ道を私と共にしてくれた全ての人々に感謝します」

 

映画『ズートピア』 それは本当にユートピア?現在アメリカへ向けて、多様性は”楽しい”というディズニーの挑戦だ! 【第89回アカデミー賞】

 

『ズートピア』

 

 第89回アカデミー賞(2017)

 

 ★【長編アニメーション映画賞】

 

 

©2016 Disney.

 

 

原題:Zootopia

2015/アメリカ 上映時間109分
監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア
共同監督:ジャレッド・ブッシュ
製作:クラーク・スペンサー
製作総指揮:ジョン・ラセター
音楽:マイケル・ジアッキノ
主題歌:シャキーラ「Try Everything]
日本版主題歌:Dream Ami「トライ・エヴリシング」
声の出演:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、イドリス・エルバ、ネイト・トレンス、J・K・シモンズ、ジェニー・スレイト、トミー・“タイニー”・リスター、レイモンド・パーシ、オクタビア・スペンサー、シャキーラ、ボニー・ハント、ドン・レイク、
モーリス・ラマルシュ、トミー・チョン
声の出演(日本版キャスト):上戸彩、森川智之、三宅健太、高橋茂雄、玄田哲章、竹内順子、Dream Ami、芋洗坂係長

 

 

 

 

巷では元号が平成から令和に変わったり、東京五輪のチッケト抽選予約が始まったり、過去最長のゴールデンウィークから復活出来る人もいれば出来ない人もいたりと、まあ色々と世の中動いてますよね。

とはいえ、しかし。

 いや〜本当にね、こればっかりは自分でもビックリですよ。

  

1年以上更新してないなんてね。笑

 

何でしょうね〜元来のナマケモノ根性が現代社会という荒野で火を吹いた(カッコわるっ)とも言えるのかもしれないし、時間という魔女とワルツを踊っていた(うわダサっ)のかもしれない。

今となっては誰にもわかりません。

追求してはいけません…

ただこの前、車の税金の納税通知書が届いたときに印字してあった「令和1年」という文字を見て初めて元号が変わったのを実感したんです。

そしたらどうでしょう、平成に何かを置き去りにしてきたような気がしてたまらなくなったんですよね。

でも、その何かを必死に探したら見つけたんです!

そう、このブログです!

僕はこの令和の世界から、平成の忘れ物 数記事書いただけで1年ほったらかしたブログを取りに来たんです!(ドヤ!)

 

 

 

カッコ悪過ぎません?笑

 

 

 

でもいいんです。

僕が言いたいのは、それでも今これを書いているという事。

間が空いたって別にいいんです、何かを再開するのに、そして何かを始めるのに、遅すぎるなんてことは無いのだから。

またトライすればいいんだよ、何度だって。

そんな事を、誰かに言いたいですね。

 

 

と、まあこんな前置きともあながち無関係じゃないかもしれない映画を紹介したいと思います。

 

『ズートピア』 です!

 

©2016 Disney.

 

さあ来ました、ディズニーアニメですよ!皆に愛されるディズニーですよ!

僕が紹介しなくたってみんな観るだろう…ってかもう観てるだろうという気がしてたまらないのですが紹介するしかないのです。

なぜなら、あらゆる面でものすごいクオリティが高い映画なんです!

 

でもディズニーだし子供向けなんでしょって?

 

いやいやそんなことはありません、大人もめちゃくちゃ楽しめるとても層に厚みのある作品なんです!

 

ということで、その辺を紹介できたらなと思います。

 

 ※目次の中の項目をタッチするとそこから読めます

 

 

あらすじプラス

まず動物たちが主役の映画なんだけど、じゃあ人間はどうしてるの?と思う人もいるかもしれませんが設定上では人間が存在したことのない動物たちだけが暮らす別世界ということになっています。

その動物たちが進化を遂げて今の僕らの地球のような高度な文明社会を築いて来て「肉食動物も草食動物も仲良く暮らす世界」が舞台の物語なんです。

まあ、動物たちとは言っても観客が物語に集中できる絶妙なバランスであえて哺乳類に限定してあるという工夫がされてるんですけどね。

 

 

 

主人公は田舎町に住むウサギのジュディです。

「より良い世界を作るため」に警察官を夢見てるんだけど両親からは割と反対な感じで、ウサギがわざわざそんな危険な職業に就かなくても皆んなで一緒に畑でニンジンを作ろうよ的なことを言っています。

しかも今までウサギで警察官になった者はいない、というのを考えれば両親が心配して反対するという気持ちは理解出来なくはないんですけどね。

しかし夢を追う者を説得するには逆効果にしかならない「私達が幸せなのは夢を諦めたからなんだよ」なんてことを言っちゃうんですよ。

まあそれも1つの正論ではあるんですけど、夢追い人にはしらける言葉にしかならないわけで主人公のジュディは俄然警察官になる夢を諦めずに結局は心配する両親や親戚一同に見送られながら、誰もが何にでもなれる街ズートピアに旅立つんです。

そしてズートピアの警察学校では苦労するも持ち前の負けん気で見事に首席で卒業し、ジュディはウサギ初の警察官になりました。やったね!

だからもう「待っとれや悪党ども、ワシが世の中の悪を全部退治しちゃる!」(多分言ってなかったと思います)ジュディが息巻いてズートピア警察官またの名を「ZPD」に出勤すると担当させられたのは駐車違反の取締りでした。

う〜ん悲しいかなこれが現実で、しかもそれに対して水牛のボゴ署長にちょっと反抗的な態度をとったりしたもんだから「だったら1日100件の駐車場を取り締まってみろ!」なんて無茶な命令をされたりして、出だしから盛大につまずくありさま。

それでもめげずに「100件言うたのう、じゃったら200件取り締まっちゃるけえの!」(これは割とそんな事言ってました)とアメリカンアッパーマインドで頑張ってたら街でキツネの詐欺師ニックと出会います。

それでジュディの善意を利用されてまんまと騙されて、まあ何というか都会の現実に打ちのめされてしょんぼりアパートに帰るわけです。

次の日も駐車違反を取り締まってたらジュディの目の前の花屋で強盗が起こるんですよ、そりゃもうチャンス!とばかりに自分の持ち場を離れて強盗犯を追いかけて街中をドタバタ駆け回って強盗犯を捕まえてドヤ顔で警察署に戻ると、そこには怒りMAXのボゴ署長が「ちょっとこいや、ワレ」とばかりにジュディを待ってたのです。

配属されて間もないのに職務放棄命令違反でとにかくこっぴどく怒られているところに、

最近ズートピアを騒がしている肉食動物の連続失踪事件で夫が失踪してしまったオッタートン夫人が「主人をはやく探してほしい」と嘆願に来ます。

それを横で聞いていたジュディはたった今怒られている最中だったにも関わらず「ワシが探しちゃる!」と自分が捜査に出ると勝手にオッタートン夫人に約束してしまいボゴ署長はブチギレ「これはクビですわ」と警官バッジを取り上げられそうになったところを運良く現れたズートピアの副市長であるヒツジのベルウェザーのおかげでジュディの即クビはまのがれたものの、「48時間以内に見つけられなければクビだ」ボゴ署長から最終通告をうけてしまったからさあ大変です。

そしてジュディは事件の手掛かりを探す中ひょんなことからキツネの詐欺師ニックを巻き込んで(ほとんど脅迫!)2人で事件の捜査をすることになるんですよ。

 

さあ、ジュディは48時間以内に失踪したオッタートンさんを探し出し、無事にズートピア警察署に残ることが出来るのか?

 

ズートピアを騒がしている肉食動物の連続失踪事件の謎は一体何なのか?

 

そして騙しと脅迫から始まった消極的な相棒ニックとジュディの関係性はどうなっていくのか?

 

その辺りを軸にストーリーがどんどん展開されていきます。

 

 

©2016 Disney.

主人公ウサギのジュデイとキツネのニック

©2016 Disney.

まあ、この顔!

 

アカデミー賞の長編アニメーション賞

この『ズートピア  』が89回アカデミー賞の長編アニメーショ賞を受賞したわけなんですけど、まあこの部門は基本的にはだいたい毎年ディズニーかピクサーが賞を獲ってしまいます。

実際、賞に値するようなハイパークオリティな作品を毎年のように作ってるので無理もないんだけど、この89回アカデミー賞の2017年は長編アニメーション賞にノミネートされた他のアニメーション作品も良い作品があります。

特に『KUBO クボ  二本の弦の秘密』『僕の名前はズッキーニ』なんかはこの『ズートピア  』に負けず劣らずの素晴らしい作品だったのでぜひ観て欲しいんですが、それらを差し置いて『ズートピア  』が長編アニメーション賞を受賞したのは、ディズニー作品のハイパークオリティである以上にやはりドナルド・トランプ大統領の誕生した事に代表されるその年のアメリカ社会の殺伐とした空気が映画界に願いとして反映されたものなのかなと思います。

そこにしっかりと応える作品になってるのではと思いますね。

 

ここを紹介したい!

 

ズートピアという街、そしてその世界観が素晴らしい!

 

まず、映像って大事ですよね?

 

もちろんストーリーも大事なんだけど、こういったアニメーション作品としてはまず観客が目で見て直接的に楽しませる要素としていかに映像として楽しいものになっているのかは重要だと思うんです。

 

確かに映像が平凡だったら退屈かもしれないって?そう、そういうことです!

 

その点、ディズニーというのはミッキーマウスがそうであるように動物をキャラクターにしてアニメーションとして動かすということをず〜っとやってきたスタジオなんですよ。

昔のディズニーのアニメーターの人達が幾度も工夫して積み重ねた「技術」というのが何十年もしっかりと受け継がれているからこそ毎作品ディズニーアニメの映像表現は圧倒的なクオリティーの高さなんです。

 

昔の手書きアニメの技術なんて今のCGアニメに関係あるのかって?

 

お!それがちゃんと関係あるんです!

手書きアニメでもCGアニメでも実は動物や人間をいかに魅力的に動かすかという根幹部分はどちらも同じなんです。

 

実際に監督の1人であるリッチ・ムーアもインタビューで “「私たちのスタジオの優れたアニメーター達が駆使している技術は、60〜70年前のディズニーのアニメーター達が使っていた技術と非常に類似している」” と言ってますしね。

 

つまり、動物をキャラクターとして動かすことなんて朝飯前のディズニーにとって『ズートピア   』の世界はピッタリだし、これまで培われてきた技術を武器に存分に暴れることのできる作品なんです!

しかも今作は、単に得意なことを今まで通りやりました〜、なんてところで終わらずに新たな挑戦をしてるのが凄いんですよ。

 

それは大きいところだとやはり動物達のサイズですね。

実は動物をそのままのサイズで描くアニメって非常に少なくて、それはディズニーであっても例外じゃないんです。

例えばミッキーマウスグーフィーはアニメ上はパッと見て背が低いか高いかぐらいの違いしかないですよね?でもこれを動物としてリアルなサイズにしてみたら当然ネズミと犬じゃ何倍も大きさが違います。

つまりほとんどのアニメーション作品の、特に動物がしゃべったりするような擬人化されたキャラの場合は小動物も大型動物も画面内であまりサイズの差が極端にならないようになるべく同じようなサイズ感で描いてるんですよ。

 

そういえばそんなの当たり前過ぎて意識したことなかった?

 

そうなんですよ!それが多くのアニメの描き方ですからね、僕もこの映画を観るまではそこまで意識した事なかったですよ。

でも確かにそうですよね、例えばネズミが生活するのに使う道具や家具をゾウが同じように使うことなんて普通は出来ないはずですからね。

それを再現するのは手間もかかって大変だし、そもそもそこまでしてリアルなサイズ感を再現することに作品としてあまり必然性もないので敢えてやってないって部分もあったのかなとお思います。 

 

しかし、この『ズートピア   』は必然性も込みで見事にそれをやってるんです!

ネズミは実際のネズミの大きさで、ゾウは実際のゾウの大きさで表現されて街で暮らしてるんですよ。

動物達がそれぞれのサイズで不自由なく生活できるように街全体が設計されてるんです。

さらに、暑い所が好きな動物や寒い所が好きな動物などそれぞれ特性を持った動物達にも対応していて雪と氷の街のツンドラ・タウン、ラクダなど砂漠の動物達が暮らすサハラ・スクエア、ネズミなど小動物が暮らす都会リトル・ローデンシア、熱帯雨林のリトル・フォレスト地区やズートピアの中心部の大都会サバンナ・セントラルなど、それらを見てるだけでも色々なアイデアが詰まっていて楽しくなりますね。

例えば僕が面白いなと思ったアイデアの1つに寒い街ツンドラ・タウンと暑い街サハラ・スクエアは隣接してて、その境界にある巨大なエアコンが寒い街に冷気を送って冷やし、その排熱を利用して暑い街へ熱い風を送ってるみたいなんだけど、もちろんバカみたいなスケールではあるけどちゃんと街の機能面も考えられてるでしょう?そういったアイデアがそこら中にちりばめられてるんですなあ〜これが。

 

別にお前が考えたわけじゃないだろって?

 

E x a c t l y !

 

そういった世界作りの工夫があるから動物達がそのままのサイズ感で描かれてても僕ら観客も違和感がないんだよね。

あとそれからサイズ感だけじゃなく、それぞれの動物らしい仕草も積極的に取り入れられてるのも良いね。

基本的に動物達はズートピアという文明社会を二足歩行で暮らしてるんだけど、例えば主人公のジュディは急いだり瞬発力が必要な場面では四足歩行に切り替わってピョンピョン跳ねたりして実際の動物としてのウサギっぽさも感じられたりして、その切り替えとか動きがあまりにスムーズで自然だからアニメ表現として気持ちいいんですよ。

怖いとジュディの鼻がヒクヒクしたり耳が立ってたり寝てたりと、ごく自然に動物らしさも取り入れてくるところなんか本当ディズニーは妥協しないですよね。

 

その妥協しなさとも関係あるんだけど、僕がこの映画を観てうわ〜偉いなあと思うのはさっき言ったズートピアの街のアイデアや表現それ自体がこの作品のテーマの1つ多様性を直感的に感じれるようになっているところですね。

この街のアイデアを凝らした設計やそのあり方、それは要するに皆それぞれが生まれ持った特性を我慢しなくていい社会ということなんです。

その象徴としてズートピアの動物達のサイズ感をありのまま描くという表現は、この作品にとって必然性があるように思います。

 

 

©2016 Disney.

色んな大きさの動物たち

ディズニー初の警官バディもの!?

 

ではないんですよね、それが。笑

ジュディがディズニー初の警察官の主人公とい点ではそうなんだけど、相棒のニックは詐欺師なんで警察官じゃないんですよ。

 

でも、ちょっと聞いて下さいよ!

 

ジュディニックがバディ関係になった時に、その場に居合わせたニックの元詐欺仲間から「お前の方がお似合いだぜ」と言われてニックに警察バッジのシールをぺたんと貼るんですよ。

まあそれはギャクの流れではあるんだけど、でもね、夢を諦めたニックの内面の物語にとっては、バッジのシール貼られて意図せずとも仮の警察官となってしまったことは大きい意味を持つんです。

物語上でも大事な役割を果たします。

 

だからこれは新米警察官と仮免警察官の警官バディものと言ってもいいんじゃないですか?

 

ギリオーケー?ダメ?ダメか〜!

 

バディものとしての面白さで言えば、この作品の作り手がオマージュを捧げるウォルター・ヒル監督の『48時間』という映画があってニック・ノルティ演じる白人警官とエディ・マーフィー演じる黒人のチンピラがもっと悪い奴を捕まえる為に48時間だけコンビを組んで捜査するというもので(ボゴ署長!さてはこの映画観たな?)、『ズートピア』もまるでその2人さながらの凸凹コンビで楽しませてくれます。

初めの方は、やる気に溢れるジュディと無理やり協力させられて消極的なニックとのチグハグなやりとりも面白いし、幼少期のトラウマという共通項をかたやバネにして夢を追うジュディと、かたやそれで夢を諦めたニックとの対比、しかしジュディと共に行動するなかで次第にニックの諦めモードも変化していく様子も見どころですね。

あと、決してうわべの恋愛要素ではなくもっと大きい友情関係の話ではありながらも、ねえねえ2人はくっつくの、くっつかないの、どっちなの〜?とほんと調味料程度に常に観客に思わせる感じは上手いですよね。

終盤の、にんじんペン返してスカスカ〜の場面なんか2人の関係性が死ぬほど可愛いですもんね! 

 

偏見や差別というテーマなのに、しんどくない!

 

もちろんこの映画はフィクションだし架空の世界の物語だけど、とても大きなテーマが込められてますね。

 

さすがにズートピアの世界が今のアメリカを元にしてるのは分かったって?

 

そうなんですよね!

ズートピアのキャッチフレーズでもある「誰もが、何にだってなれる街」なんて、まさにアメリカン・ドリームのことですもんね。

しかも世界中から色々な人が移り住んできて沢山の人種の人達が一緒にくらしてる国なんですよね。

まさにズートピアですね!

 

ちなみに、アメリカン・ドリームも含めたかつての「自由の国アメリカ」という幻想がかろうじて信じられた時代のニュアンスも若干皮肉的に込められてるように感じましたけどね。

 

とにかく、フィクションとは言え今のアメリカをモデルに多様性を描くなら偏見や差別というテーマを避けることはできません。

そのテーマを『ズートピア』では、はるか昔は食べる側食べられる側であった肉食動物草食動物を軸にして描いていくわけです。

だから草食動物のジュディと肉食動物のニックがバディを組むのも作品のテーマとしては必然ですね。

 

え、まさかこの映画ってちょっと前のDCユニバースみたいなノリなのって?

 

いやいや大丈夫、暗くないから!そんなシリアスなノリじゃありません。むしろ大人もめちゃくちゃ笑えるコメディになってるんです!

いやこれを実写映画でやろうとしたら重いし非常にデリケートな問題を多く描写することになるのでとても作るのが難しいんだけど、アニメーションの架空の動物達の世界にすることで絵本を読むような感覚で大事なことを本質まで考えることが出来るんですね。

しかもギャクで笑いながら。

 

要は、しんどくないってことなんです!笑

そりゃあ嬉しいね!

 

 

もちろん敢えて観客にしんどい思いをさせてこちら側に突き付けるような、優れた作品も沢山ありますよ!

 

しかしこの『ズートピア』は最後まで笑えて基本的に楽しい映画なんだけど、とても深いところからお土産を持って帰れるような作品なんですよ。

 

なにせね、妥協しないディズニーが偏見や差別を真正面からズドンと中心に置いて作品を作ったわけですよ。

だからそういった偏見や差別を、ある時は真っ当に、ある時はそれを逆手にとって、時には僕ら観客が無意識に持っている偏見さえも使って徹底的に描き尽くしてるわけです。

 

つまりどういうことって?

 

 

差別する人はする人、差別される人はされる人、NO!世の中そんな単純じゃない!ってことなんです。

例えば悪い人だから差別するとか、良い人だから偏見を持ってないとかそれすらもすでに偏見で、この映画では差別する方と差別される方のポジションが決まったものとして描かれてないのがすごいところなんですよ。

だから人種差別に性差別や外見での偏見や自分世界の偏見や無知からくる偏見などなど様々な形の差別や偏見が描かれるのです。

つまり完璧な人なんていない、我々の誰しもが何かしら偏見を持っているってことをちゃんと描いているんです。

だってそもそも主人公のジュディがそのテーマを体現するかのように、差別や偏見をされる側であり、逆にする側でもあるわけですからね!

 

じゃあジュディは性格が悪いのかって?

 

そうじゃないんです、そういう性格が良い悪いとかは差別や偏見にあんま関係ないってことなんですよ。誰が見たってジュディは良いウサギなのに所々で無意識的に偏見を持ってるんですよ。

例えば、「子供頃自分にトラウマを負わせたあいつが悪いだけでキツネ自体は何も悪くないウサギだって悪いのもいる」的なことを言いながらも、初めて街で見かけたニックをキツネだから何か悪いことしてるに違いないと無意識に尾行したり、常にベルトにはキツネ除けスプレーを携帯してます。

それにジュディは自分は外見で差別される事を嫌だと思いながらも、自分も色々なものに対して無意識に外見で決めつけや偏見を持っています。

しかも、レトルトのにんじんが蓋を開いて外見のパッケージの写真とは違って小さかったから捨てたり、ボゴ署長がタマネギと言った球根をちゃんとした名称で呼ぶように正そうとしたりと、つまりは外見と中身が正しく一致している事に固執していて、これも外見の正しさへの偏見ともとれます。

あと、30秒過ぎただけで駐車違反を切ったりとかも、1秒でも過ぎたら違反っていう外見上はまあそりゃ正しいんだけど…とか。

しかもその外見の正しさへの偏見に、生物学的根拠という材料は悪い意味で相性が良く、それぞれの単なる「違い」がやがて「差別」という上下の関係性に徐々に変わっていく後押しをしてしまうのが厄介なのです。

ジュディのように正しさに固執するってことは視野を狭めることになるし、利用されかねないってことなんですよね。

 

ちなみに、警察官のジュディとは対照的に詐欺師のニックの方が外見で偏見を持たないキャラとして描かれてるのも面白いですね。

 

だから無意識に偏見を持ってしまうところも込みで観客が共感しやすいジュディというのはこの作品の定規みたいなもので、ジュディを通して差別されたり無意識に差別してしまったりという感情の動きを観客も感じる事ができるんです。

しかもその方法として上手くてちょっと意地悪なところは、無意識の偏見というのがだいたいギャグとして出てくるんですよね。

要は映画の動物ギャグってのは現実世界で言う人種ギャグを表していて、〇〇人は〇〇だと言う決め付けを動物たちの特徴に置き換えられていて、その決め付けとのギャップで笑わせられるわけです。

だからあそこで爆笑したってこと=(イコール)偏見持ってたわ〜ってことがギャグとして次から次へと描かれるわけです。

 

つまり笑った数だけ自分が無意識に偏見持ってたということを楽しく気付かせてくれる映画でもあるんですね。

 

僕ですか?山ほど笑いましたよ。笑

 

 

あと、動物達の実物そのままのサイズ感もジュディの大きさを基準として分かりやすく体感できるところもまさにジュディは定規のようですね。

 

 

 

「道具」と「内面」と「繰り返し」

 

なんのこっちゃいー!って?

 

いやいや、この映画って道具の使い方がとても上手いんですよ!

物語を直接進めるアイテムにもなるし、キャラクターの内面や変化や成長を表すのにとても道具が有効に使われてるんです。

 

具体的には、

 

「録音機能付きにんじんペン」

 

「警官バッジ(シールも含む)」

 

とりあえず、まずはこの2つだけでも注目して映画を観てみると面白いかと思います。

にんじんペンはジュディニック(偏見を持った他者)への理解と信頼を、警官バッジ(シールも含む)は世界をより良くしたいという“夢”を、それぞれ表しています。

この2つの道具は何度も繰り返し出てきます。

そしてその度にジュディニックの間を道具が行ったり来たりするんだけど、道具の使い方でそれぞれの内面や関係性が変化していってるのがスマートに表現されています。

例えば、最初ににんじんペンが出てきたのはジュディニックを捜査に協力させるための脅迫の道具として(まだ全然信頼してない)、2回目にペンが出た時はわざと“フェンスの向こう側”にペンを投げて後戻りできない状態(2人を共犯関係)にする為、3回目にペンが出た時はジュディニックに警官志願用紙と一緒にペンを渡した(脅迫の解消、つまりニックを信頼した)時に、そしてあと2回にんじんペンは出てきますがそれは実際に映画を観て確かめてくださいね!

最後の使い方なんかはテンション上がりますよ!

 

警察バッジもしかりで、ジュディやニックの“夢”の距離感として効果的に使われてます。

 

 

そしてさっきは敢えて書かなかったんだけど、形の無い道具として

「お芝居」

というのがあります。

映画が始まった瞬間から、学校の演劇の発表会として肉食動物に食べられるという「お芝居」があります。

個人的にはこれも”形の無い道具”だと思っています。

この形の無い道具はジュディの内面の物語(トラウマ)を表しています。

これも繰り返し出てきます。

 

内面ってどういうことって?

 

内面は内面でしょ!大事ですよ〜!

最初は、かつて大昔に肉食動物は草食動物を襲っていましたっていうのを今はもうそんな事は無いけど昔話の伝承として安心して演じるわけです、つまりフィクションです。

次にそのすぐ後で道具が出てきた時はお芝居と同じシチュエーションでキツネのギデオン・グレイから傷を負わされてしまう、つまりそのフィクションが壊されてしまいます

それが元でジュディは壊れたフィクションを抱えたまま大人になるんだけど、つまりそれが心の奥底にトラウマとして残ってしまうことになるんですよね…。

それが結構重要な問題で、確かに表面上で展開される肉食動物連続失踪事件を追うというメインストーリーはありますよ?

しかしそれとは別にこのジュディの内面のトラウマを克服しないことには真の意味でキツネのニックとバディにはなれないってことなんですよ。

でもやっぱこの『ズートピア』、すごいですね!

この形の無い道具が3回目に出てくるところでは、これ以上ないってほど見事な使い方でジュディの内面の物語を回収していくんですよ!

観た人なら分かるかと思いますが、壊れたフィクションを自分でまた作り直すんですよね。

しかもそれが出来たのは外見での偏見を超えてニックへの理解や信頼があってこそ、そして覚えてますよね?それを象徴する”形のある道具”と、さっき言った”形の無い道具”のまさかのコンビネーション技『ズートピア』の中の全ての物語を回収していくという見事としか言えない展開は最高ですよ!

 

 

なになに、一体どういうことって?

 

それは観て下さい!笑

最高なんで!

 

 

 

 

ちゃんと狂ってもいる!

 

まあさっき言った「繰り返し」とも共通するんだけど、この『ズートピア』って映画の中で1度でも出てきた言葉や出来事やギャグや登場キャラなど、かならずもう1度ならず2度3度と映画内で繰り返されて出てくるんですよ!

ほぼ全がですよ!?

 

何言ってんのって?笑

 

そうなりますよね!

いや、でもこれマジなんですよ。笑 

 

例えばジュディが警察署に配属された初日のボゴ署長の朝礼「新入りを紹介すべきだな、だがどうでもいいので省く」(ウサギが警官に向かないと偏見を持ってるので本心で言っている)というセリフ。

そして最後にも同じセリフが言いますがそれはボゴ署長が仲間として認めて親密なコミュニケーションの1つとして言います。

 

確かに同じセリフの繰り返しだけど何かが違うって?

 

それは鋭い!そうなんですよ!

同じ事の繰り返しでも、必ず1回目よりも発展した形で使われるんです!

だって単なるつまみ食いのブルーベリーにしたって重要な役割として再登場するぐらいですからね。

僕はこれは伏線とはまたちょっと違うきがするんですが、映画内で繰り返した言動が意味のある発展系だとなんか気持ちいいですよね。

例を挙げればキリが無いほど沢山あるし、もし仮に全部挙げればそれはもうズートピアを最初から最後まで再生したのと同じになるのでこの辺にしときますが。

つまりそれぐらい繰り返しのピースだけで完成したパズルのような作品なんですよ。

ちょっと、どうかしてますよね?笑

 

でも観た人それぞれに、必ずお気に入りの繰り返しが見つかると思うんでその辺も注目して観ると面白いと思います!

 

 

おわりに

これだけ大それたテーマを持った映画なのに終始笑えるんですよね。

しかも大人も笑える、むしろ大人だから笑えるギャグも沢山あって、その辺は共同監督の1人でもあるリッチ・ムーア監督が元々は『シンプソンズ』や『フォーチュラマ』などのブラックジョーク全開の作品を作っていた影響もあってかこの『ズートピア』でも皮肉が効いたギャグが沢山ありましたね。

多くの人が印象に残るのは大ヒット作『アナ雪』の有名なフレーズを自虐ネタとして使うところじゃないですかね。

僕も初めて劇場で観た時はびっくりしましたよ。笑 

劇場ではみんな笑ってましたしね!

 

そんなに笑えて楽しいのにメッセージとしての強さが、シリアスじゃなくてもしっかりと伝わってくるのが良いですよね。

この機会にあらためてこの映画の凄いところを考えてみると、この作品って「偏見や差別はいけません!」って事をそこまで全面に押し出して言ってないんですよね。

なんというか、偏見や差別がダメなのは当たり前でこの映画はその先のことを言ってると思うんです。

 

つまり多様性ってなんて楽しいんだろう!ってことなんですよ。

 

やっぱ、こういうテーマを題材にした作品なら「してはいけません!」という否定の方向が割と多いと思うんだけど、この『ズートピア』に関しては「こっちの方が楽しくない!?」という肯定を観客に投げかけてけてくるんですよ!

否定と肯定、どちらが子供を含めた大勢の人に届きやすいのかと考えた時にこのテーマに対して大袈裟に言えば1つの答えを示してみせたと言ってもいいんじゃないかと思います。

 

『ズートピア』では偏見や差別が生まれる心情の複雑さも描いてましたね。

その中には、偏見や差別の感情が生まれる背景に子供の頃にそういった経験を受けて、更にそのトラウマを強化するように親が偏見を教えてしまう、そうやって育った子供も無意識に偏見を持ってしまうその負のスパイラル

ジュディも両親から「キツネはずるい」と言われて育ったために、その偏見が心のどこかに残ってしまってました。

ジュディニックも子供の頃のトラウマが原因で偏見を持ってしまいます。

そして偏見を生み出する原因となったその厄介なトラウマを大人になってようやくお互いに解消してあげる物語でもあります。

それが映画における真のバディというものなのです。

 

もし多感な子供の時に偏見や差別を受けてしまう機会や触れてしまう機会がなければ、負のスパイラルを止めることが出来れば、その子達が大人になった頃にはほんの少し良い世界になっているかもしれませんね。

それぐらい幼少期に触れるものは大事なんです。

だから子供が最初に触れる機会の多いディズニーの作品で、映像や技術やアイディアや物語の全てでもってたゆまぬ努力の末に「多様性の楽しさ!」を大いに叫んだこの作品がアカデミー賞長編アニメーション賞を受賞したことの意味は確かにあるような気がしますね。

 

まあそれでも実際はなかなか上手くは行きません!社会は複雑です!

多様性は楽しい!と分かっていてもそれはなかなか難しいものです。

簡単になんて行くわけない、そんなことは『ズートピア』の作り手たちも分かっています。 

 

そこで最後にまた繰り返しの話をほんのちょっとさせて下さい。

 

「トライ・エヴリシング」という曲が序盤に流れるんですが、これは夢を追いかけて大都会へ行くジュディの心情にシンクロした歌詞の、アメリカらしいポジティブソングとして聴こえますよね!

 

 

トライ・エヴリシング

日本語歌唱:Dream Ami
作詞:Sia Furler/Tor Erik Hermansen/Mikkel S. Eriksen

作曲:Sia Furler/Tor Erik Hermansen/Mikkel S. Eriksen

 

Oh,oh,oh,oh,oh
ダメだった うまくいかない そんなことばかりよね
それでもね 進んでいくの ちゃんと前を向いて
間違えることでやっと分かることだってあるから
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもダメだとしても向かっていけばいいよ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもそう何度だって向かっていけばいいよ

Oh,oh,oh,oh,oh   やるのよ
Oh,oh,oh,oh,oh   何度も
Oh,oh,oh,oh,oh,  やるのよ

Oh,oh,oh,oh,oh

ねぇ平気よ うまくいくわ がんばりすぎないでね
少しずつ進めばいい できることをやるだけ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもダメだとしても向かっていけばいいよ
あきらめないでいこう どんなことがあったとしても
何度でもそう何度だって向かっていけばいいよ
失敗することでもっと強くなっていくんだから
だからいいの

Oh,oh,oh,oh,oh   やるのよ
Oh,oh,oh,oh,oh   何度も
Oh,oh,oh,oh,oh   やるのよ

Oh,oh,oh,oh,oh

やってみるの

  

 

 そして2回目、ラストの物語の終わりにガゼルがステージでこの曲を歌う時にまた流れます。(歌詞の字幕が表示されないのは残念ですが)

全く同じことを歌っているのに、その時は1回目のジュディの個人的な夢への挑戦という歌詞ではなく、さらに発展したもっと大きな意味でのトライ(挑戦)としてこの歌のが聴こえるようになってますよね!

 

 

現実の社会が理想とかけ離れてるのは分かってる。

でも、私たちはより良い世界を作れると信じて、

やってみるの!

今回はダメでも、

何度も!

諦めてしまわずに、

やるのよ!

未来を向いて、

全部やってみるの!

 

そんな力強いメッセージを感じる、すごい熱の込められた映画なんです!

 

結局トライし続けることでしか世界は良くならないのかもしれません。

それもほんの少しずつ。

進んでは揺り戻して、進んでは揺り戻して、ジリジリと前進する。

まさに「三歩進んで二歩下がる」を繰り返す、それはとても大変なことだと思います。

しかし、人々がトライする事をやめた時、きっと何かが終わってしまうような気がしますね。

 

なんか紹介がこんなところまで行くとは思いませんでしたけどね!笑

 

しかしこれで、この映画に興味を持ったり、もう観た人が何か再発見できたりしたのなら幸いです!

 

 


『ズートピア』予告編

 

 

 

 

 

 

映画『ホワイト・ヘルメット シリアの民間防衛隊』 “ 一つの命を救うことは、人類を救うこと”【第89回アカデミー賞】

『ホワイト・ヘルメット  シリアの民間防衛隊』

 

第89回アカデミー賞(2017)

【短編ドキュメンタリー映画賞】

 

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原題:The White Helmets

2016 / イギリス 上映時間40分

監督:オーランド・ボン・アインシーデル

製作:ジョアンナ・ナタセガラ

製作総指揮:ジェイソン・スピンガーン=コフ、 アダム・デル・デオ、 リサ・ニシムラ

撮影:フランクリン・ダウ

編集:マサヒロ・ヒラクボ

音楽:パトリック・ジョンソン

 

 

 

 

これはですね、ドキュメンタリー映画です。

しかも短編ドキュメンタリーだから40分でサクッと観れちゃう。

なのに得るものは大きいというコスパの良さ、それがこの作品も受賞したアカデミー賞【短編ドキュメンタリー映画賞】なのです!

 

そしてこの映画、空爆の絶えないシリアの中で救助活動を行うボランティア団体“ホワイトヘルメット”の日々の活動に密着したドキュメンタリーです。

 

 

シリアで化学兵器のサリンが使われたってニュースでやってた気がする?

 

そうです、そのシリアです!

 

この映画では、まだサリンが使われる前の段階なんだけどそれでも酷い状況が映し出されるんですよ。

あの状況の中で、更にサリンを使われるということはどういうことか…巻き込まれる一般市民のことに考えが及ぶ、そんな作品です。

 

2016年に英国で製作されNetflix配信、配給(小規模劇場公開)された作品です。

それが賞を獲るというのも時代の流れを感じますね。

 

 

お!40分なら観てみようかなって?

いいですね〜、では見所を紹介しましょう。

 

 そもそもシリアってなんで内戦してるの?

 

まずそこですよね、その辺がぼんやりしてる人もいると思うんで最低限の所だけ大雑把に説明しますね。

 

まず、世界には独裁国家が沢山あります。

 

え?沢山ありますよ!

 

例えば、僕らの住む日本の周りだと北のミサイルマンの国パンダの産地のでっかいあの国など、独裁国家です。

それで世界の中でも、歴史的な背景からアラブ中東地域には特に独裁国家が多くて、その中の1つにチュニジアという国があります。

 

え、シリア関係ない?

 

いやそれが関係あるんですよ!

 

とりあえず2010年12月にチュニジアで1人の青年が役人のあまりの横暴さに体制側に抗議する意味で焼身自殺します。

そこから、その怒りというのがSNSという新たな市民のツールの影響もありどんどん広がっていき、やがて大きな暴動となり国内全土に及んでついには独裁政権の崩壊にまで至ったのです。

この民主革命をチュニジアを代表する花のジャスミンの名を取り“ジャスミン革命と言います。

そうなると、周辺の独裁国家の国々で不満を溜め込んだ人々が

「え?革命って成功するもんなん?俺たちもやろうぜえい!」

「うぉぉおおぉ〜!」

という感じで、このジャスミン革命に影響を受けて民主化運動の動きがアラブ中東地域に一気に広がっていくのがいわゆる“アラブの春”という現象です。

 

そしてアラブの春がシリアにも広がり、現独裁政権であるアサド政権に反対する運動が広がっていったんですね。

そしてとうとうシリア政府軍と反体制派との間で武力衝突が起こり内戦へと進んで行くのです。

まだそこまでなら政府vs.反政府の構図として分かりやすいんだけど、そこからが問題でシリア国外から様々な勢力が参加して政府側や反政府側にそれぞれ加担していくんだけど、そういう状況を、決定的に複雑にしたのがISIL(自称イスラム国)の参入ですね。

領土と勢力を拡大したいISIL(自称イスラム国)はシリアが2つに割れて潰し合いをしている状況をチャンスとばかりに名目上は反政府側を支援するふりをしてどんどん自分の領土を広げて行ったのです。

そこでアサド政権はとある国へ応援を求めます。

 

ロシアです。

 

ついにロシアまで参加することになります。

 

ロシアの支援の名目上はISIL(自称イスラム国)などのテロ組織限定の空爆ということになってますが、どさくさに紛れアサド政権に対立する反政府側(穏健派や一般市民含む)へも空爆を繰り返し行い革命を防ごうとします。

 

そんなカオスな状態極限にきている場所があります。

 

シリア最大の都市アレッポです。

 

このアレッポはどの勢力にとっても非常に重要な都市だけあって攻防戦が1番激しいこの場所に、なんとまだ避難できない一般市民が何万人もいるんです。

 

これは想像しただけでもやばいですよね!

 

それでも空からは毎日のようにロシア軍の空爆が街を襲い爆煙が上がります。

その爆煙にいち早く駆け付け、瓦礫にうもれた中から人々を助け出す男達がいます。

武器は持たず、代わりに白いヘルメットをかぶり瓦礫の山から命を救い出す。

どの勢力の戦闘行為にも加担しない人命救助団体、彼らこそが『ホワイト・ヘルメット/シリア民間防衛隊』なのです。

 

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これがシリアのアレッポ…こんな中でまだ何万人も暮らしているのです。

 

 

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悲惨な状況…

 

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瓦礫の中へ…

 

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元製造業や元金属加工業の人などの未経験者が多いのです。

 

 

このホワイトヘルメット。

人命救助の素晴らしい団体、といった意見だけじゃなく、ネットで検索すれば批判的な噂も出てきたりします。

まあ意図的にフェイクニュースで批判しているのもや陰謀論のようなのものは置いといたとしても、このホワイトヘルメットの活動を支援している主に反体制派の側の中でもそれぞれの思惑があって支援しているのも確かなのでしょう。

 

でもね、この作品はそういった政治的なことから離れた現場を、前線を密着したドキュメンタリーだということが重要です。

 

なぜなら。

空爆で街が破壊される現実。

普通の人々が巻き込まれる現実。

その中でホワイトヘルメットの隊員達が命がけで人命救助をする現実。

そこに嘘はないからです。

 

空爆してくる戦闘機を地上から見上げるのがどれだけ恐いか、そこへ飛び出して救助に向かうのにどれだけ勇気がいるか、そして彼らがそうまでしてなぜ人命救助をするのか、この40分の映画を観れば分かります。

 

 

 

こういう機会でもなければなかなか知ることのできない遠くの世界の現実、Netflixに加入してる人は、是非ご覧ください!

 

 

 

 *2018年2月の情報では、シリアの内戦状況はISIL(自称イスラム国)の大幅な勢力減退に伴いアサド政権VS反政府組織という当初の構図に戻りつつあるが先行きは不透明とのこと。

いずれにせよ2011年から始まった内戦は7年経った今でも続いています。

一般市民が安心して生活出来る日が早く訪れることを願っています。

 

 

 

 

 

映画『スーサイド・スクワッド』 だって悪党なんだもーん!というノリを楽しもう【第89回アカデミー賞】

『スーサイド・スクワッド』

 

第89回アカデミー賞(2017)

【メーキャップ&ヘアスタイリング賞】

 

 

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原題:Suicide Squad
2016/アメリカ 上映時間123分
監督・脚本:デビッド・エアー
製作:チャールズ・ローベン、リチャード・サックル
製作総指揮:ザック・スナイダー、デボラ・スナイダー、コリン・ウィルソン、ジェフ・ジョンズ
撮影:ロマン・バシャノフ
美術:オリバー・スコール
衣装:ケイト・ホーリー
編集:ジョン・ギルロイ
音楽:スティーブン・プライス
音楽監修:シーズン・ケント、ゲイブ・ヒルファー
視覚効果監修:ジェローム・チェン

 

 

さあ、アメコミ映画です!

悪党たちが世界を救います!

なんか意外でしたね、アカデミー賞に関係するところでアメコミ映画が出てくるのは。

 

これはDCコミックスの同名タイトル作品の実写映画化ということになります。

その中でも、それぞれ別の作品やキャラクターの作品でありながらも1つの同じ世界を舞台にしている作品群としてシリーズになっている、いわゆる近年流行りのユニバースというやつです。

 

そうそう、『アベンジャーズ』みたいな流れのやつです!

でもあっちはマーベルコミックで、この映画はまた違う会社のDCコミックスのユニバース作品だから“DCエクステンデッド・ユニバース”と呼ばれるシリーズの作品ですね。

略して“DCEU”(DC Extended Universe)と呼ばれることもります!

 

ちなみにマーベル映画のユニバースはマーベル・シネマティック・ユニバース略して“MCU”(Marvel Cinematic Universe)と呼ばれてます。

 

この2つがアメコミ映画の二台巨塔ですね。

今は質と量と共に“MCU”のほうが勢いがある感じです。

両者の持ち味の違いも関係しているのかもしれませんね。

 

それは一般的にはマーベルは明るくてDCはダークで暗い、というイメージがあって単純に映像に関してもDCは夜のシーンが多いので画面も暗いんです。

話もDCの方はシリアスな方向なので、普通のヒーロー映画のような爽快感はあまり無いんですが、もちろんそれが良いという人もいます。

 

それで今回のこの映画、“DCEU”の3作目ということになります。

 

 

今回のヒーロー達はなんと囚人達です。

スーパーマンがいなくなってしまった後これからの世界の脅威に対抗すべく、アメリカ政府は凶悪な囚人達に減刑などと引き換えに特殊チームを結成するのです。

 

その名も通称「スーサイド・スクワッド」

 

要は悪には悪をぶつけようぜ!ってことですね。

 

さっきDCはダークな暗さと言いましたが、これもDCらしい話じゃないですか。

しかし、なんと今回はシリアスじゃなくポップな感じになっています!

でもマーベルのような昼間のポップさとはちょっと違い、夜のポップさ。

つまり夜の街にネオン管がカラフルに光るような、その中で悪党達が化け物をバンバンやっつけていくという世界観を僕は結構楽しめました。

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普通の正義のヒーローじゃあ出せない雰囲気!

 

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特に、ハーレイ・クインは最高でした!

 

 

ちなみにですが、この作品は元々はポップな方向に持っていく予定ではありませんでした。

今まで通りにシリアスでダークな方向でほぼ出来上がりに近い状態のところで、ぼちぼち公開へのプロモーションしなくちゃ!ってことで予告を敢えてポップにしたところ受けが非常に良くて大評判だった為、「ええい!本編もポップにせえい!」というお上の一声でなんと編集を一からやり直して音楽も付け足しちゃって今回のような映画になったのです。

 

その影響も多少なりともあってか、どうせ観たら分かることなので言ってしまいますがストーリーの出来があまり良くありません。

話の流れもあまり良くありません。

 

見所はそこではありません!

 

色んな姿をした悪党達、その役者のコスプレ合戦を楽しむのです!

 

バカにしてないかって?してないしてない!

 

なぜならこの映画は第89回アカデミー賞【メーキャップ&ヘアスタイリング賞】を受賞してるんですよ。

つまりコスプレ合戦の部分が評価されたってことです!

なので主要なキャラ達を紹介します。

 

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デッドショット

尋常じゃない腕前のスナイパー。

愛娘に弱いのです。

ウィル・スミスが演じてます。

 

 

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ハーレイ・クイーン

ジョーカーLOVEなサイコパス!そしてこの映画を引っ張る魅力的なキャラクターで目が離せない!

マーゴット・ロビーが演じてます。

 

 

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ジョーカー

クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』のジョーカーがあまりに凄かったので今作はどんなジョーカーなのかも見所ですね。

違う方に狂っていて僕はアリでしたよ!

ジャレッド・レトが演じてます。

 

 

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フラッグ

陸軍特殊部隊の大佐、悪党だらけのスーサイドスクワッドを指揮するリーダー。

ジョエル・キナマンが演じてます。

 

 

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キャプテン・ブーメラン

ブーメランを巧みに扱う強盗。

デリカシーのない粗野な男。

しかしぬいぐるみ大好き。

ジョイ・コートニーが演じてます。

 

 

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エル・ディアブロ

ロサンゼルスの元ギャングの一員。

炎を召喚して戦闘能力の高さでは随一を誇るが自身は戦いからは身を置いています。

僕は結構好きなキャラです!

ジョイ・ヘルナンデスが演じてます。

 

 

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キラー・クロック

肉体が爬虫類に退行する隔世遺伝に苦しむトカゲ男。

超人的な身体能力と強靭な肉体、水の中でも呼吸ができます。

アドウェール・アキノエ=アグバエが演じてます。

 

 

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スリップ・ノット

自由自在に縄を使う暗殺者。

自らが開発した新素材の頑丈な縄で、どんな建物にも登ることができます。

アダム・ビーチが演じてます。

 

 

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エンチャントレス

強力な魔女に取り憑かれた考古学者。

反則級の力の持ち主。

カーラ・デルヴィーニュが演じてます。

 

 

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カタナ

日本人の暗殺者。

剣術と格闘術の達人で、妖刀を使う。

フラッグのボディガードとして部隊に唯一志願したメンバー。

福原かれんが演じてます。

 

 

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アマンダ・ウォラー

スーサイド・スクワッドに命令を与える米国政府の高官。

ヴィオラ・デイヴィスが演じていて、彼女はこの年のアカデミー賞で別の作品で助演女優賞を受賞してます。

この映画でもその演技力を発揮しています。

 

 

名もなきネイビー・シールズのあいつ

この脇役とすら言えないキャラも付け加えさせて下さい!笑

 

 

どうですか!こんなやつらが暴れて活躍するんです、ちょっと面白そうでしょう?

 

是非ご覧ください!

 

 

まず、その評判が良かった予告を観せろって?

わかりましたよ、はいどうぞ!

 


スーサイド・スクワッド(字幕版)(予告編)

 

映画『メッセージ』 静かで深いところから感動が流れてくる新しいSF映画【第89回アカデミー賞】

 

『メッセージ』

 

 

 

 

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いや〜これもかなり観応えのある特殊なSF映画でしたよ〜。

ある日、世界中に12個の巨大な“ばかうけ”が出現し、人類にメッセージを送ってきます。

それは「3日以内に全ての我を食べ尽くさねば、地球を滅す」という理不尽なものでした。

そして世界中の食いしん坊達が立ち上がるのです。

もちろん日本政府も北海道に出現したばかうけ対処すべく日本中の食いしん坊に呼びかけて全力を挙げてバックアップします。

そして、なんとか世界中の巨大ばかうけを食い尽くして(アメリカが1番早かったようです)地球を救った英雄達の影響で世の中の価値観がひっくり返り、良く食べるイメージの肥満が最もイケてる体型となり、雑誌の表紙やドラマの主役、パリコレの舞台に映画まで、書店に行けば「肥満になれる10のステップ」などの本がずらりと並び、やがて町には肥満が溢れかえります。

それにともないインフラの再整備が進み必要な公共事業が盛んになり、民間では新しい産業が次々生まれて、世界経済が右肩上がりに伸びに伸びハッピー極まりないことになります。 

 

しかしここで問題が発生します。

 

食料が足りなくなったのです。

 

普通考えたら分かるだろうと僕たち観客は突っ込みたくなりますが、とにかく需要に対して供給が圧倒的に弱くなり世界中で食料不足が深刻になります。

そして食料品のハイパーインフレが起こり、ファストフードのマクドなんちゃらなどはチーズバーガー1個が4000円超えて、しかも後に肉の単価が高すぎるのでパティ(ハンバーグ)の部分に段ボールを油でこねくり混ぜたものを焼いて代用していたことが発覚し、大騒ぎになるかと思いきや「食べれるなら段ボールでもいい」といって皆が段ボールを街中探し回る方向に発展する始末。

そして、とうとう少ない食料を巡って人類は争うようになり、今までの映画史のなかでも最も暑苦しい戦いがはじまるのでし…嘘です。

はい、嘘です。

 

ごめんなさい嘘ついて…

え、最初から知ってたって?

 

僕はずっと手のひらで転がされていたってことですか?

ちくしょう!でも楽しかったですよ、バカなことを延々と想像しまくるのも。

 

 

 

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なんですかこの無駄に高いクオリティ、何も知らない外国人なら信じちゃうんじゃないですかね。

 

 

 

 

まあでもこんな日本のおふざけに乗ってくれたヴィルヌーヴ監督の動画でも貼っつけておきます。


宇宙船がばかうけソックリ!『メッセージ』監督からのメッセージ映像

 

 

はい、ちゃんと紹介しますね。

 

 

 

『メッセージ』

 

第89回アカデミー賞(2017)

【音響編集賞】

 

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監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ

脚本:エリック・ハイセラー

音楽:ヨハン・ヨハンソン

撮影:ブラッドフォード・ヤング

編集:ジョー・ウォーカー

 

原作:テッド・チャン「あなたの人生の物語」

 

 

 

 

さて!

まあSF映画なんだけど、いわゆるファーストコンタクトものというやつです。

それは何かって?

地球以外の星の文明と人類が初めて接触する話ですね。

そうそう定番のやつです!やっぱ人気ですし、ワクワクするじゃないですか。

でも定番だけに逆に新鮮味を感じさせるのは結構大変なんですよね、しかしこの映画はなかなか新しいんです!

その辺は後で言いますね。

 

始まりは、ある日突然のこと、突如として世界中に謎の宇宙船が現れます。

その数は12、ちなみに日本の北海道にも現れます!

しかし世界12箇所で、なぜその場所なのか関連性もなく、何の為に地球に訪れたのか理由も分かりません。

 

 

まずこの映画が素晴らしいのは、まあ美しいんですよ映像が。

 

SF映画でよくあるCGで全て作り込まれた架空の美しい景色とはまた違って、本物のアメリカの大自然の中に明らかに異常な物体がそこにある、この本物とCGとのコントラストがすごい画面を美しいものにしています。

 

そしてその異常な物体、宇宙船ですね。

それが現れてから程なくして、アメリカの言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)の元へ、アメリカ軍大佐のウェバー(フォレスト・ウィテカー)が訪ねてきます。

力を貸して欲しいと。

 

そして宇宙船の中へ入って宇宙人と接触することになるんだけど、そこで物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)と共にあらゆる角度から宇宙人から情報を引き出す作戦を与えられます。

そしてもちろん1番重要な情報は何の目的で地球に来たのか、です。

 

そこからは全く未知の存在である宇宙人の言葉や考えを人間が解読していく、この作品は言語のSF映画だったのです。

 

こんなSF映画は見たことないですよ。

 

しかし、宇宙人と、うぉりゃー戦争じゃー!というのを期待すれば肩透かしを食らった感じになるかもしれません。

しかしそういう派手なドンパチ以外の面白さに溢れた、とても大人のSF映画ですね。

 

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なんじゃこの美しさ…!

 

 

まず宇宙船の中には、宇宙人というか生物ですね、それが2体います。

胴体にイカみたいに7本の足が付いてるのでヘプタポッド(7本足)という名前で呼ばます。

そう、いかにもですよね!足が沢山付いていてって、でも面白いことにこのヘプタポッドには生物として前も後ろも無いんですよ。

前に進んだら、同時に後ろに下がっていることにもなるという、説明しづらいですね。

 

そこで、このヘプタポッドを知るヒントになるのが文字なんです。

 

ヘプタポッドは足から墨汁みたいなもを出して空中に文字を書くことができます。

その文字といのが筆で丸を書いたような字で、どうやら1個の丸の中に色々な意味が詰まった1つの文章になっているらしいことが分かります。

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こんな文字を出してきます。

 

 

これは表意文字と呼ばれる文字で、実は僕たちには馴染み深い種類の文字でもあるんです。

 

それは漢字です!

 

例えば表音文字と呼ばれる音で表す文字のアルファベットは"A”とか“B”とか1文字だけだと何の意味もなさないですよね。

しかし漢字は“鳥”とか“怒”とか1文字だけで意味が分かる、絵を見るのに近い感覚ですよね。

ヘプタポッドの文字はこの漢字のような表意文字が超絶進化したものだと思ってもらえれば良いかと思います。

そして言語のSFとしてもう1つ重要なのは映画の中でもチラッと出てきますが、“サピア=ウォーフの仮説”というのがあります。

これは、その人が使っている言語によってその人の思考も決まるというものですね。

大雑把に言うと英語の順序だと結論が真っ先にきてその後に説明が続いて、日本語の順序だとまず説明から始まって結論は最後にくる(もしくは結論なしでも伝わる)、その言語の違いが欧米人と日本人の性格的な違いにも繋がってるんじゃないの?ってことですね。

全てが必ずしも当てはまるわけじゃないと思うけど、ちょっと分かる気もしますよね!

 

つまり言語を学ぶってことは、その言語が持つ考え方も学んでるってことにもなるんですよ。

そこがこの映画では大変重要な部分になっていくのです。

 

そして、その文字を頼りにルイーズ達は少しずつヘプタポッドが何の目的で地球に来たのかを探ろうとしていきます。

他の世界各地の宇宙船、それぞれの国 ヘプタポッドとはどういう接触の仕方をしているのか、その国の反応は、そしてこの物語は何処へ向かっていくのか、ぜひその目で確かめて欲しいですね。

 

原作のテッド・チャンの「あなたの人生の物語」もちゃんと読みましたよ。

この映画は原作の映像化としてもとても良い出来!その上で原作の方はヘプタポッド

に関係するディテールや考察がより掘り下げられてました。

 

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ルイーズとハンナ

 

 

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物理学者イアンを演じたジェレミー・レナー。

個人的には『ザ・タウン』『ハート・ロッカー』のようなクレイジーな役の時が好きだけど、このインテリ姿もなかなか良かったですよ。

 

 

ああそれと、この作品がアカデミー賞【音響編集賞】を受賞したことも触れとかないといけませんね。

【音響編集賞】と言われても皆あまりピンとこないんじゃないでしょうか?

映画って役者のセリフ以外の音は基本的には後から音作りの職人によって付けられてるんです。

殴った音、銃の音、ドアを開ける音から足音まで、色んな音です!

でも、再現が難しい音ってあるじゃないですか戦場で銃弾が飛び交う音とか、あとこの映画のようなSF作品みたいに現実には存在しない音とか。

分かりやすく言うとスターウォーズのライトセーバーの「ヴゥーン」って音とか、R2D2の「ピポパピポペピ」みたいな声とか、現実に存在しないから作り出さないといけないわけです。

 

で、この映画でいうところのヘプタポッドちゃんですよ。

実際には存在しない生物ですからね、その喋る音を聞いたとき、観客にちゃんとそれだ!っと思わせるものを見事に作り出したってことですよ。

あとちょいちょい流れるヘプタポッドのテーマ曲なんかも、あまり聞いたことないような音を使って作ってあったり、そういう音響編集のことろにも耳を傾けてこの映画を観るのも面白いですね。 

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ヘプタポッドちゃん!このキモい形が人間とは全く違う次元の生き物だということ感じさせてくれます。

 

 

この映画、非現実を描いたSFですが決して現実と無関係じゃなく、僕たちにとっても大事なことが沢山含まれていたように思います。

見知らぬ相手だからこそちゃんと理解しようとする、コミュニケーションの基本ですよね。

そしてちゃんと理解出来ているのか、伝わっているのか、コミュニケーションその難しさ、根気が要ることも感じさせられる。

 

そうやって序盤の方はコミュニケーション、言語についてのSF映画

 

中盤は、時間についてのSF映画へ。

 

そして終盤は、何についてのSF映画になっているのか。

 

 

そこを観て欲しいです。

 

僕はやはりそこに感動しました、科学が発達しても使うのは人間、その動機の感情だけは進化も退化もなく普遍的、だからSF映画として描く価値のある作品にちゃんとなってました。

 

そして僕たち人間の意思とは何か、SF映画の絵空事ではなく、宇宙人が来なくても近い将来に必ず僕ら人間が直面する課題だと思うとやはり観ておくべき映画だと思います。

 そして邦題じゃなく元々のタイトルである『ARRIVAL』(到着)の意味が分かった時に、何とも言えない余韻を残すのです。

またそれが良いんですよね。

 

 

是非ご覧ください!

 

 

 


映画「メッセージ」予告編

 

映画『ムーンライト』 月明かりの下でだけ自分自身になれる【第89回アカデミー賞】

 

 

『ムーンライト』

 

 

第89回アカデミー賞(2017)

☆【作品賞】☆

☆【助演男優賞】

☆【脚色賞】

 

 

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監督・脚本:バリー・ジェンキンス

原作・原案:タレル・アルヴィン・マクレイニー

音楽:ニコラス・ブリテル

撮影:ジェームズ・クラストン

編集:ナット・サンダース

   ジョイ・マクミロン

製作総指揮:ブラッド・ピット

 

 

 

いや〜これかあ、1回目から来ましたねえ。

と言うかね、どう書いていったら良いものかイメージがまだ定まってないんでとりあえず友達に紹介するような感じでやっていきますね。

いやこれ、すごい良い作品なんだけど、なかなか万人に興味を持ってもらえるタイプの作品じゃないんですよね。

癖もありますしね。

でもまさにこういう映画こそ紹介したい、このブログの1回目に相応しい作品です!

 

まずちょっと、いきなり内容とは関係ない事ですが、2017年の第89回アカデミー賞の授賞式でちょっとしたハプニングがありましたね。

この『ムーンライト』が作品賞を受賞したんだけど、おそらく受賞式の運営サイド(正確には会計事務所)のミスで違う封筒がプレゼンターに渡され作品賞のところで最初『ラ・ラ・ランド』と読み上げられてしまい、同キャストやスタッフが壇上に上がって喜びまくっている途中で間違いだと分かって騒然となりました。

この作品賞って20部門以上あるアカデミー賞の部門の中でも最も重要で、延々半日以上かけて開催されてる派手な授賞式の中でも発表が大トリだから皆んなの注目が1番集まる、そこで要は人的ミスってやつですよ、やらかしちゃったもんだからもう、ね…、うっかり人的ミス経験者なら分かるでしょう?想像するだけでも震えてきます。

きっと誰かのクビが飛んだことでしょう…。((((;゚Д゚)))))))

 

いやそれで、その時に僕はまだ『ムーンライト』観てなかったから「えーなんだよラ・ラ・ランドでいいじゃん!」とかついつい思ってたんだけど、いざ観るとやっぱ良い作品でさ、そして納得したと同時に「アメリカ映画界はこの映画を作品賞に選んだのか!」という意外な驚きもありました。

 

 

さて本題の方に入りますけど。

 

最初の方に表示されてる表紙のポスター画像に写っているのが主人公なんですけど、見て何か気づきました?

黒人だ。

まあそうだけど、その黒人男性の主人公の顔がスライスされたピザのごとく3つに分かれてますよね。

これで分かるように主人公の少年期・思春期・青年期の3つの異なる年代をそれぞれ3人の役者が演じて描いた映画なんです。 

そして、一般的な映画と少し変わっているのは、この映画は三部構成と言って完全に3つの章に区切られてるんです。

 

まず最初は《リトル》と題名の付いた、少年期の章。

次は《シャロン》と題名の付いた思春期の章。

最後は《ブラック》と題名の付いた青年期の章。

 

この3つの章を通して主人公の変化を延々と追っていく映画なんですね。

 

 

じゃあ主人公はどんな人かって?

 

主人公の本名はシャロンという名前で、アメリカのマイアミ郊外の貧困地域

でシングルマザーの母親と暮らす黒人の男の子です。

 

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そして彼はゲイです。

その上、いじめからなんとか逃げて家に帰れば帰ったで母親がドラッグに溺れてるんですよ。

つまりこの映画って

黒人の貧困層の街でその黒人達の中からも差別されるゲイに生まれ、その上ヤク中の母親からも疎まれる何処にも居場所がない黒人少年というマイノリティ中のマイノリティ主人公なんです。

 

え、興味ないって言いました?

いやいやそんなこと言わないで、ね!

むしろそういう人にこそ観て欲しいんです。

て言うか興味ないとか…

これ、1回目ですよ!?笑

 

まあそう思う気持ちも分からなくはないですよ。

自分の状況とかけ離れているとか、あとは貧困問題にドラッグや性差別など社会問題が映画を観る前から説教臭そうだと感じるのかもしれませんね。

僕も観る前はそういった社会問題をお題目にした映画かなと思ってたんだけど、違いました。

もちろんそういった側面もあるんだけどむしろもっと普遍的な、人間アイデンティティーを巡る話なのです。

そして“同時”にとても繊細な極上の恋愛映画でもありましたね。

 

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ちなみに、そんなつらい状況のシャロンには誰も味方がいないのかって?

 

います。

 

幼い主人公にとってとても重要な人がいるのです。

それは居場所のない主人公が逃げ込んだ廃墟で偶然出会ったフアンという人物です。

このフアンという人物はドラッグディーラーで、しかもこの辺の縄張りを仕切ってるっぽいんです。

 

でも、このフアンという男によってシャロンは初めて自分の存在を肯定されるのです。

 

そのフアンに海で泳ぎを教えてもらうシーンがあるんだけど、手で支えられながらプカ〜っと海に浮かべてもらって「地球を感じるか?今お前は地球の真ん中にいるんだ」という言葉と共に世界と自分の繋がり、つまりこの世界に自分が居ても良いんだとちゃんと“体感”させます。

そのあと浜辺で「お前のことはお前が決めろ、周りに決めさせるな」と言われます。そうやって海でシャロンはとても大事な言葉をフアンからもったのです。

この無条件の肯定、本当なら母親がしてあげなければいけないことですよね…。

 

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いや〜これ良いシーンでした。

 

 

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そのうちゲイだと自分で認識することになるチビ助シャロンに向けて贈られた大事な言葉!

 

 

そして良くも悪くもシャロンにとってこのフアンの存在がどれほど大きかったのかというのが、3章目《ブラック》を観ればもうね…分かるのです。

 

そのフアンを演じたマハーシャラ・アリという役者が、アカデミー賞【助演男優賞】を獲ったんだけど、納得。

それぐらい存在感のある役柄でした。

 

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他には誰かいるかって?  

 

もちろん!忘れちゃいけない登場人物がいます。

ケヴィンです。

彼はシャロンの初恋の相手なんだけど、彼もとても重要な登場人物です。

シャロンのアイデンティティーを巡る話とケヴィンに対する恋心の行方、この2つは同列で切り離せないんですよ。

 

 

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こちらが照れてしまうほど繊細な気持ちのやりとり。

 

 

そして、この映画の面白いなと思うところの1つに、シャロンを取り巻く厳しい現実をこれだけリアルに描きながらもアート映画的でもあるんです。

例えばこの映画のテーマカラーであるが画面のどこかに必ず入れているのを始め色彩のコントロールや映像を作りや音楽の使い方など美しいものと貧困や差別などが同居する独特の雰囲気があります。

 

 

あと、三部構成と言っても単に章が3つに分かれてるだけじゃなくて、ちゃんと特性を活かした作品なんで、その違いや変化も味わってほしいです。

 

例えばどんな?

 

そうですねえ、じゃあ例えばこの映画のテーマカラーの青の他に章ごとにサブカラーがあって、1章《リトル》はサブカラーも青、2章《シャロン》は黄色、3章《ブラック》は黒、と分かれてます。

そして、わざわざ色を分けといてなんの意味もないなんてことは映画にありません。

その青と黄と黒を海と月と空に例えて1つにしたらどんな情景が浮かびますか?

そう!月明かりの海辺です!この映画にとって大事なモチーフですよね。

 

あとこの映画にはシャロンのテーマ曲があります、3つの章ごとにそのテーマ曲のアレンジが変化しています。

そのアレンジされた音色とシャロンの内面が完全にリンクするようになっているのでその辺も是非味わってほしいです!

そして章が切り替わった時に、一気に時間が飛ぶのにあまり説明されない感じ、その章と章の“間”を想像する面白さも味わって欲しいですね。

 

 

長々と書いちゃいましたね。

 

日本の某ベテラン大御所バンドの初期の方の曲のサビにある“知らぬ間に築いてた、自分らしさの檻の中でもがいてるなら”という歌詞があるけど、この映画って要は“男らしさの檻の中でもがいている男の話”なんですよ。

でも別にこれ、女らしさとか、優等生らしさとか、体育会系らしさとか、大人らしさ、不良グループらしさ、なんでもいいですけど、そういう“〇〇らしさの檻の中”でもがいてる人って沢山いるんじゃないですか?

僕だって少なからずありますよ。

だからこの映画でその檻から解放されたシーンがすごく尊く思えるんです。

ああ、良いなあと思えるんです。

じゃあこの映画は、これからはそんな檻を取っ払って生きて行こうぜ!って言っている作品なのか、僕は違うと思っています。

生まれた環境や自分が属する集団で、それが出来ないから、ボロボロに傷付くから、知らぬ間に自ら檻を築いたんです。

檻に守られることもあるから。

 

でも檻の中が狭くてもがいてしまう時、どうしても苦しい時、どうすればいい?

 

シャロンにとって海は特別な場所です。映画の中で、シャロンは海にいる時だけ自分を解放できました。

 

僕はこの映画のラストは、

 

あなたの海は何処ですか?

 

いや、

 

あなたの海はありますか?

 

と、問いかけられたような気がしました。

 

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べつに三部構成だからといって伏線がどうだという映画じゃないし、難しいことは話は何もないし、その代わり何かが解決するわけでもない、でもシャロンの背中を追うカメラのように寄り添って観ることができたならとても穏やかで深い感動に包まれる映画だと思います。

 

特に自分が今いる場所と自分の内面とのギャップに悩んでいる人は1度は観ておいて損は無い映画じゃないでしょうか!

 

是非ご覧ください!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第89回アカデミー賞 (2017年)全受賞作品&ノミネート作品一覧

※ 青文字をタッチするとその映画の紹介記事に飛べます

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★作品賞★

【受賞】ムーンライト」

 

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

●「フェンス」

●「ハクソー・リッジ」

●「最後の追跡」

●「ドリーム」

●「ラ・ラ・ランド」

●「LION/ライオン〜25年目のただいま〜」

●「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

 

★監督賞★

【受賞】デイミアン・チャゼル

「ラ・ラ・ランド」

〜以下ノミネート〜

● メル・ギブソン

「ハクソー・リッジ」

● バリー・ジェンキンス

「ムーンライト」

● ケネス・ロナーガン

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

● ドゥニ・ヴィルヌーヴ

「メッセージ」

★主演男優賞★

【受賞】ケイシー・アフレック

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

〜以下ノミネート〜

● アンドリュー・ガーフィールド

「ハクソー・リッジ」

● ライアン・ゴズリング

「ラ・ラ・ランド」

● ヴィゴ・モーテンセン

「はじまりへの旅」

● デンゼル・ワシントン

「フェンス」

 

★主演女優賞★

【受賞】エマ・ストーン

「ラ・ラ・ランド」

〜以下ノミネート〜

● イザベル・ユペール

「エル ELLE」

● ルース・ネッガー

「ラビング  愛という名前のふたり」

● ナタリー・ポートマン

「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」

● メリル・ストリーム

「マダム・フローレンス!夢見るふたり」

 

★助演男優賞★

【受賞】マハーシャラ・アリ

「ムーンライト」

〜以下ノミネート〜

● ジェフ・ブリッジス

「最後の追跡」

● ルーカス・ヘッジ

「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

● デーヴ・パテール

「LION/ライアン〜25年目のただいま〜」

● マイケル・シャノン

「ノクターナル・アニマルズ」

 

★助演女優賞★

【受賞】ヴィオラ・デイヴィス

「フェンス」

〜以下ノミネート〜

● ナオミ・ハリス

「ムーンライト」

● ニコール・キッドマン

「LION/ライアン〜25年目のただいま〜」

● オクタヴィア・スペンサー

「ドリーム」

● ミシェル・ウィリアムズ

「マンチェスター・バイ・ザシー」

 

★脚本賞★

【受賞】「マンチェスター・バイ・ザ・シー」

ケネス・ロナーガン

〜以下ノミネート〜

●「最後の追跡」

テイラー・シェリダン

●「ラ・ラ・ランド」

デイミアン・チャゼル

●「ロブスター」

ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリップ

●「20センチュリー・ウーマン」

マイク・ミルズ

 

★脚色賞★

【受賞】ムーンライト」

バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

エリック・ハイセラー

●「フェンス」

オーガスト・ウィルソン

●「ドリーム」

セオドア・メルフィ、アリソン・シュローダー

●「LION/ライオン〜25年目のただいま〜」

ルーク・デイビス

 

★撮影賞★

【受賞】「ラ・ラ・ランド」

リヌス・サンドグレン

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

ブラッドフォード・ヤング

●「LION/ライオン〜25年目のただいま〜」

グレイグ・フレイザー

「ムーンライト」

ジェームズ・ラクストン

●「沈黙  サイレンス」

ロドリゴ・ブリエト 

 

★編集賞★

【受賞】「ハクソー・リッジ」

ジョン・ギルバート

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

ジョー・ウォーカー

●「最後の追跡」

ジェイク・ロバーツ

●「ラ・ラ・ランド」

トム・クロス

「ムーンライト」

ナット・サンダース、ジョイ・マクミロン

 

★美術賞★

【受賞】「ラ・ラ・ランド」

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

●「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

●「ヘイル、シーザー!」

●「パッセンジャー」

 

★衣装デザイン賞★

【受賞】「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」

コリーン・アトウッド

〜以下ノミネート〜

●「マリアンヌ」

ジョアンナ・ジョンストン

●「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」

コンソラータ・ボイル

●「ジャッキー  ファーストレディ  最後の使命」

マデリーン・フォンテーヌ

●「ラ・ラ・ランド」

メアリー・ゾフレス

 

★メイキャップ&ヘアデザイン賞★

【受賞】スーサイド・スクワット」

〜以下ノミネート〜

●「幸せなひとりぼっち」

●「スター・トレック BEYOND」

 

★視覚効果賞★

【受賞】「ジャングル・ブック」

〜以下ノミネート〜

●「バーニング・オーシャン」

●「ドクター・ストレンジ」

●「KUBO  クボ  二本の弦の秘密」

●「ローグ・ワン  スター・ウォーズ・ストーリー」

 

★録音賞★

【受賞】「ハクソー・リッジ」

〜以下ノミネート〜

「メッセージ」

●「ラ・ラ・ランド」

●「ローグ・ワン  スター・ウォーズ・ストーリー」

●「13時間  ベンガジの秘密の兵士」

 

★音響編集賞★

【受賞】「メッセージ」

〜以下ノミネート〜

●「バーニング・オーシャン」

●「ハクソー・リッジ」

●「ラ・ラ・ランド」

●「ハドソン川の奇跡」

 

★作曲賞★

【受賞】「ラ・ラ・ランド」

ジャスティン・ハーウィッツ

〜以下ノミネート〜

●「ジャッキー  ファーストレディ 最後の使命」

ミカ・レビ

●「LION/ライオン〜25年目のただいま〜」

ダスティン・オハローラン、ハウシュカ

「ムーンライト」

ニコラス・ブリテル

●「パッセンジャー」

トーマス・ニューマン

 

★主題歌賞★

【受賞】“city of stars”

「ラ・ラ・ランド」

〜以下ノミネート〜

● “Audition(The Fools Who Dream)”

「ラ・ラ・ランド」

● “Can't Stop the Feeling”

「トロールズ」

● “The Empty Chair”

「Jim : The James Foley Story(原題)」

● “How Far I'll Go”

「モアナと伝説の海」

 

★長編アニメーション映画賞★

【受賞】ズートピア」

〜以下ノミネート〜

●「KUBO クボ  二本の弦の秘密」

●「モアナと伝説の海」

●「ぼくの名前はズッキーニ」

●「レッドタートル  ある島の物語」

 

★外国語映画賞★

【受賞】「セールスマン」(イラン)

〜以下ノミネート〜

●「ヒトラーの忘れもの」

(デンマーク)

●「幸せなひとりぼっち」

(スウェーデン)

●「タンナ」

(オーストラリア)

●「ありがとう、トニ・エルドマン  」

(ドイツ)

 

★長編ドキュメンタリー映画賞★

【受賞】「O.J. : Made in America」(原題)

〜以下ノミネート〜

●「海は燃えている  イタリア最南端の小さな島」

●「私はあなたのニグロではない」

●「ぼくと魔法の言葉たち」

●「13th 憲法修正第13条」

 

★短編映画賞★

【受賞】「合唱」

〜以下ノミネート〜

●「Ennemis Interieurs(原題)」

●「彼女とTGV」

●「Silent Nights(原題)」

●「タイムコード」

 

★短編ドキュメンタリー映画賞★

【受賞】「ホワイト・ヘルメット  シリアの民間防衛隊」

〜以下ノミネート〜

●「最後の祈り」

●「4.1 Miles(原題)」

●「Joe's Violin(原題)」

●「Watani : My Homeland(原題)」

 

★短編アニメーション映画賞★

【受賞】「ひな鳥の冒険 」

〜以下ノミネート〜

●「盲目のヴァイシャ」

●「Borrowed Time(原題)」

●「Pear Cider and Cigarettes(原題)」

●「Pearl(原題)」

 

 

 

〜以上24部門